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2009.10.15 Thu
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廃墟建築士廃墟建築士
(2009/01/26)
三崎 亜記

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「廃虚とは、人の不完全さを許容し、欠落を充たしてくれる、精神的な面で都市機能を補完する建築物です。都市の成熟とともに、人の心が無意識かつ必然的に求めることになった、『魂の安らぎ』の空間なのです」


 いつか「廃虚」となる為だけの建物を建てる建築士、「廃墟建築士」
 先代の意思を忠実に守り、人々の癒しの空間となるような廃墟を誠実に建ててきた主人公だが、独立した弟子が建てたのは、近隣住民の反対を押し切っての高層の巨大廃虚建築だった。
 やがて立ち会い検査の後、とある廃墟の建築偽装に気付いた主人公だったが・・・・



 全四編の短編集。
 総てが「建物」に関わるお話なのですが、やはりそこは三崎ワールドと言いますか、日常の一部に非日常な世界が混ざりこんでいます。
 登場人物が苗字だけだったり肩書きだけだったりで、存在自体が淡々としている場合も多く、生活臭もあまり感じません。
 この淡々さ加減は、世界観にも繋がっているのではないかと思います。


 そのくせ、人々の行動が妙に人間くさい。
 各々が行動を起こす動機付けとして、様々な「感情」が絡み合っていますが、その複雑さが、はっとするほどリアルです。
 世界は非日常ですが、登場人物はすぐ近くの日常にいる。
 掴み所の無い距離感のあやふやさと世界観の不思議さは、読み手によって好みが分かれるかと思いますが、はまればはまる作品です。


 私は「蔵守」の話が一番気に入りました。
 いつか来るとも分からない「侵略者」から蔵を守る為だけに、一生を蔵守の仕事に捧げる人の物語。
 皮肉っぽく書けば、星新一作品風のブラックユーモアになりそうな題材ですが、この作者が描くと、理不尽さや人生の無常さも、あくまで淡々と悟ったように流れていきます。
 それがどこか物悲しい。
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